「FTMOはEAが使えるのか?」「使えるとしたら、どんなEAが危険なのか?」という疑問を持つトレーダーは多い。
結論から言う。FTMOはEAの使用を公式に認めている。ただし、使い方を間違えると合格が取り消されたり、アカウントが閉鎖されるリスクがある。制限の内容を正確に把握したうえで使うのと、なんとなく使うのでは、リスクが全く違う。
この記事では、FTMO公式FAQと利用規約をもとに、EAの対応状況・設定手順・合格を守るための注意点を解説する。
EAで攻略する前に、まず環境を確認 FTMOの14日間無料デモは本番と同じMT4/MT5環境で動く。EAのバックテストより先に、本番ルールでの動作確認が先決。 → FTMO無料デモでEAを動かしてみる(費用ゼロ)
FTMOはEAの使用を公式に認めている
FTMO公式FAQには以下のように記載されている。
「裁量取引・アルゴリズム取引・EAなど、取引スタイルに制限を設けていません。取引がリスク管理ルールに則り、実際の市場条件に合致しており、禁止取引行為に該当しない限り、戦略の選択は自由です」
つまり、EAの使用自体は全フェーズ(チャレンジ・Verification・FTMOアカウント)を通じて許可されている。MT4・MT5のEA(Expert Advisor)はもちろん、cTraderのcBotも使用可能だ。
ただし「使ってよい」と「何でも使ってよい」は別の話だ。使用できるEAの条件と、禁止される行為が明確に定められている。
対応プラットフォームとEAの種類
FTMOが対応しているプラットフォームは以下の3つ。
MetaTrader 4(MT4) 最も広く使われているプラットフォームで、EAの資産が最も豊富。MQL4で書かれたEAが動作する。FTMOのチャレンジでも多くのトレーダーが選択している。
MetaTrader 5(MT5) MT4の後継。MQL5で動作し、バックテスト精度が高い。ティック単位の高精度シミュレーションが可能で、EAの最適化にはMT5が有利な場面もある。
cTrader ECN方式で約定力が高いプラットフォーム。cBotとして実装したアルゴリズム取引が可能。
EAを使う場合、プラットフォームの選択はEAが対応しているものに合わせる。チャレンジ開始後にプラットフォームを変更することは認められていないため、事前に確定させること。
なお、FintokeiはMT4対応のプロップファームとして人気があるが、FTMOとはEAルールが異なる点がある。FintokeiとMT4の詳細は「FintokeiとMT4の使い方」を参照してほしい。
EAで最も重要なルール:「第三者EA」のリスク
FTMOの公式FAQには、EAに関して特別な注意書きがある。
「第三者提供のEAを使用する場合、すでに同じEAを使っている別のトレーダーが存在する可能性があります。同一EAの使用により、最大資本配分ルールを超過した場合、FTMOアカウントの付与が拒否されるリスクがあります」
これは何を意味するか。市販のEAや無料配布のEAをそのまま使用すると、他の多くのトレーダーと全く同じシグナルを出すことになり、FTMOがそれを「コピートレード」または「最大資本配分の超過」として判断するリスクがあるということだ。
FTMOは最大$200,000(1口座)、複数口座合計で最大$400,000という資本配分上限を設けている。同一EAを多数のトレーダーが同時に使っている場合、FTMOとしてはその戦略に対して過剰なリスクエクスポージャーを持つことになる。これを防ぐために、同一EAユーザーが上限を超えた場合に申請を拒否する権限を持っている。
対策は明確だ:自作EAか、独自にカスタマイズしたEAを使う。
パラメーターを少し変えた程度では同一EAとみなされる可能性がある。エントリーロジックそのものを独自に構築することが最も安全だ。
FTMOでEAを使う際の禁止事項
禁止①:HFT・ティックスキャルピング・レイテンシーアービトラージ
高頻度取引(HFT)、ティック単位のスキャルピング、レイテンシーを利用した裁定取引はすべて禁止。これらは「実際の市場条件では再現不可能な取引」として明確に禁止されている。
禁止②:サーバー過負荷(1日2,000件超のリクエスト)
FTMOのプラットフォームサーバーには制限がある。
- 同時発注上限:200件
- 1日の最大アクション数(新規注文・修正・決済の合計):2,000件
グリッドEAや多通貨ペアに大量発注するスキャルピングEAは、この制限に抵触しやすい。過負荷が検出されると、FTMOから「EAのロジックまたはパラメーターを調整するように」という警告が届く。警告を無視した場合、アカウントへのアクセスが制限される。
禁止③:マーチンゲール・禁止ロジック
損失が出るたびにポジションサイズを倍増させるマーチンゲール手法は禁止。同様に、ナンピン(同方向にポジションを積み増す)も、「合理的なリスク管理から逸脱する行為」として問題視される。
禁止④:Best Day Ruleを回避するための操作
1日の利益が全利益の50%を超えないという「Best Day Rule」(1-Stepプランに適用)を意図的に回避するために、ポジションを複数日にまたがって人為的に分割することは禁止されている。
チャレンジ・Verification中はOKだが、FTMOアカウント(本番)では追加制限あり
**FTMOアカウント(合格後の本番口座・2-Stepプラン)**では以下の追加制限が適用される。
- 主要経済指標発表の前後2分間のポジション保有・新規発注禁止
- 週末(金曜ニューヨーク時間クローズ〜月曜オープン)のポジション持ち越し禁止
- 夜間ロールオーバーから2時間を超えるポジション保有禁止
チャレンジ・Verification中はこれらの制限がないため、合格後にEAを継続稼働させると突然ルール違反になるパターンが多い。
経済指標取引や週末持ち越しが必要なEAを使う場合は、**スイング口座(Swing Account)**を選択する必要がある。スイング口座ではこれらの制限がすべて免除されるが、レバレッジが1:30に下がる。
FTMOチャレンジ攻略の詳細では、フェーズごとのルールの違いをまとめているので確認しておくこと。
松風が実際にFTMOで使っているEA戦略を公開中 プロップチャレンジ対応で設計されたゴールドEA戦略。ドローダウン管理・指標回避ロジックをどう組み込んでいるかを解説している。 → 松風のEA戦略を見る
MT4でEAを設定する手順(FTMO口座対応)
Step 1:MT4にログイン
FTMOチャレンジ購入後、メールでMT4のログイン情報が届く。MT4を起動し、「ファイル」→「取引口座にログイン」からサーバーを選択してIDとパスワードを入力する。
Step 2:EAファイルをインストール
- MT4のメニューバーから「ファイル」→「データフォルダを開く」
- 「MQL4」フォルダを開く
- 「Experts」フォルダにEAファイル(.ex4または.mq4)を配置する
- MT4を再起動するか、ナビゲーターウィンドウを右クリックして「更新」
Step 3:自動売買を有効化
MT4メニューの「ツール」→「オプション」→「エキスパートアドバイザ」タブを開き、以下にチェックを入れる。
- 「自動売買を許可する」(必須)
- 「DLLの使用を許可する」(EAによって必要)
その後、MT4ツールバーの「自動売買」ボタンをクリックしてONにする。チャート右上にニコニコマーク(スマイルフェイス)が表示されれば稼働中。
Step 4:EAをチャートに適用
ナビゲーターの「エキスパートアドバイザ」からEAをチャートにドラッグ&ドロップする。パラメーター設定画面が表示されるので、ロットサイズ・ストップロス・利益確定幅などをFTMOのドローダウンルールに合わせて設定する。
Step 5:VPSでの運用を推奨
EAは24時間PCが起動している環境でないと動作しない。スリープや電源断でEAが止まると、ポジションが放置される危険がある。FTMOはVPS(仮想専用サーバー)の使用を認めているため、専用VPSを使った安定稼働を推奨する。
FTMOのEA運用で合格するための実践ポイント
① ロットサイズは口座残高の1〜1.5%以内で統一する 1トレードあたりのリスクを口座残高の1%以内に固定する。FTMOの日次5%・全体10%のドローダウン上限を考えると、1トレードで大きなリスクを取る設計は合格から遠ざかる。
② Best Day Ruleを意識したロジック設計(1-Stepプランの場合) 1日の利益が全体の50%を超えないようにするルールがある。EAが特定の日に集中して利益を出す設計になっていると、このルールに抵触する。利益を複数日に分散させるか、1日の最大利益に上限を設けるフィルターを組み込む。
③ 経済指標カレンダーとの連動フィルター FTMOアカウント(本番)での指標前後2分制限に対応するため、主要指標(NFP・CPI・FOMC)の前後にEAを一時停止するロジックを入れる。チャレンジ段階でこれを入れておくと、合格後にそのまま使い続けられる。
④ 最低取引日数(4日)の確保 2-Stepチャレンジの最低取引日数は4日。EAが特定の日にしかトレードしない設計では、この条件を満たせない可能性がある。バックテストで取引日数の分布を確認しておく。
⑤ EAを独自に設計することが最大のリスク回避策 市販EAや無料配布EAの流用は合格後の審査でリスクになる。EAのロジックを自分で構築し、自分だけの取引パターンを持つことが、FTMOでEAを使う際の最も重要な条件だ。
他のプロップファームでのEA使用可否については「プロップファームでEAは使える?」で比較している。
まとめ:FTMOでEAを使うための3原則
FTMOでEAを安全に運用するための原則を3つにまとめる。
原則1:市販EAをそのまま使わない 第三者提供のEAを無改変で使うことは、コピートレード認定・最大資本配分超過のリスクを持つ。自作または独自ロジックが安全。
原則2:サーバー上限(1日2,000件)を意識した設計にする 高頻度・多通貨ペア同時稼働のEAは過負荷に注意。グリッド・スキャルピング系はパラメーターを絞る。
原則3:チャレンジと本番でルールが変わることを前提に設計する チャレンジ中は指標・週末制限がないが、本番では制限が加わる。合格後も使い続けられるEAを最初から設計することで、作り直しのコストがなくなる。
EAによるFTMOチャレンジ攻略は、裁量トレードとは違うアプローチが求められる。まず無料デモで本番と同じ環境を確認し、EAが正しく動作することを確認してからチャレンジを購入するのが最短ルートだ。
松風が実際に使っている手法はこちらで公開しています。



















