「EAでプロップファームのチャレンジに挑戦できるのか」という疑問を持つ人は多い。結論から言うと、主要プロップファームはEAに対応している。ただしファームごとにルールが異なり、知らずに使うと失格になるケースがある。
この記事では、FTMO・Fintokei両方でEAを運用してきた経験から、EAトレーダーがプロップファームを使う際に押さえるべき対応状況・禁止事項・設定方法を解説する。
プロップファームの基本的な仕組みがわからない方は「プロップファームとは?完全解説」を先に読んでほしい。
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プロップファームでEAは使えるか?
FTMO・FintokeiいずれもEAによる自動売買は許可されている。 ただし「全てのEAが使える」わけではなく、禁止されている取引手法をEAに含む場合は失格対象になる。
EAをプロップで使う最大のメリットは、感情を排除した一貫したトレードができる点だ。プロップファームのチャレンジは「安定してルールを守れるトレーダー」を選ぶ設計になっている。裁量だと焦りから大ロットを張りがちな場面でも、EAは設定通りに動く。
一方、最大の注意点はドローダウン管理だ。通常のFX口座と違い、プロップファームには「全体-10%失格」「日次-5%失格」というリアルタイムの制限がある。EAはドローダウン限度を超えても自動で止まらないため、プロップ専用の設定が必要になる(後述)。
FTMO・Fintokei EA対応比較表
| 項目 | FTMO | Fintokei |
|---|---|---|
| EA使用 | ○(自作EA推奨) | ○(市販EAも可) |
| MT4 | ○ | ○ |
| MT5 | ○ | ○ |
| cTrader | ○ | ○ |
| DXTrade | ○ | × |
| マーチンゲール禁止 | ○ | ○ |
| HFT / ティックスキャルピング禁止 | ○ | ○(15秒未満禁止) |
| 指標前後取引制限 | ○(Step3時のみ前後2分) | × |
| 週末ポジション持ち越し | Step3時は禁止 | 可(非推奨) |
| 1日の最大注文数 | 2,000件 | 特定なし(HFT禁止) |
| コピートレード | 禁止 | 禁止 |
FTMO × EAで知っておくべき3つのルール
① 市販EAをそのまま使うのはリスクがある
FTMOでEAを使う際に最も見落とされているのがこのルールだ。FTMOは複数のトレーダーが全く同じロジックのEAを同時稼働させている場合、「コピートレード」とみなして失格にする可能性がある。
一般に販売・配布されている市販EAは、同じEAを使う人が複数存在するため、このリスクが生じる。FTMOでEAを使うなら自作EAが原則だ。市販EAを使う場合は、パラメーターや通貨ペアを十分カスタマイズして「自分だけの設定」にする必要がある。
「プロップチャレンジ対応済みのEAをすぐに使いたい」という方には、松風が実際にFTMO・Fintokeiで使用しているストラテジーをソースコード完全譲渡で提供している。マーチンゲール・HFT非使用、ドローダウンリミッター追加実装に対応、かつFTMOでのコピートレードリスクを避けるためのカスタマイズも可能な設計だ。詳細は「プロップチャレンジ対応ストラテジー(pinescript-pro.com)」で確認してほしい。
② Step3(FTMOトレーダー)になってから制限が追加される
チャレンジ・ベリフィケーション(Step1・Step2)の段階では指標前後の取引制限はない。しかしFTMOトレーダーに昇格(Step3)すると以下の制限が加わる。
- 主要経済指標(FOMC・NFP等)発表前後2分間の新規注文・ポジション決済が禁止
- 週末ポジション持ち越し禁止、夜間ロールオーバーから2時間超の持ち越し禁止
EAが自動でこれらのタイミングに取引しないよう、ニュースフィルター機能を実装しておく必要がある。FTMOのスイングアカウントを選べばこれらの制限は免除されるが、レバレッジが30倍に制限される。
③ 1日最大2,000件の注文制限
高頻度取引型のEAを使う場合、1日の最大注文数2,000件・1回の最大ロット50ロットという上限に注意が必要だ。スキャルピング系EAでも通常は問題ないが、マーチン型や超高頻度EAは自動的に制限に引っかかる。
FTMOのEAに関する詳細な設定・運用方法は「FTMOでEAを使う方法」で解説している。
Fintokei × EAで知っておくべき3つのルール
① 禁止手法を含むEAは事前に必ずチェックする
Fintokeiは市販EAも使えるが、以下の手法を含むEAは禁止対象になる。
- マーチンゲール(負けた際にロット数を増やす手法)
- 積極的な価格の平均化
- ティックスキャルピング(15秒未満のポジション保有)
- HFT(高頻度取引)
- レイテンシー・アービトラージ取引
- 複数口座を跨いだ両建てアービトラージ
- 他人のシグナルのコピー / 第三者によるアカウント管理
- 「評価通過目的」で作られたEAの使用
特にマーチンゲールの定義はFintokei計算機を使ったファーム独自の基準がある。固定ロットのナンピン(ロット増加なし)は原則許可されているが、疑わしい設定のまま使用するのは避けること。
また「評価通過目的のEA」も禁止されている。チャレンジに合格させるためだけに設計された専用EAは使用不可だ。本来のトレード能力を証明するEAとして使う必要がある。
② スプレッド + 往復手数料を織り込んだEAが必要
Fintokeiは取引手数料として1ロットあたり往復6ドルが加算される(スプレッドとは別)。主要通貨ペアの実効コストは以下の通りだ。
| 通貨ペア | 平均スプレッド + 手数料 |
|---|---|
| USDJPY | 0.3pips + 6ドル/lot |
| EURUSD | 0.3pips + 6ドル/lot |
| GBPUSD | 0.4pips + 6ドル/lot |
| XAUUSD(ゴールド) | 1.8pips + 6ドル/lot |
普段使っているFX口座のスプレッドと同じ条件でEAをバックテストしても、Fintokei環境では利益が大幅に変わるケースがある。EAを導入する前にFintokeiの実際のコスト条件でバックテストし直すことが必須だ。
③ 週末の持ち越しは「EAが自動で止めない」点に注意
Fintokeiは週末ポジション持ち越しが可能だが、週明け月曜朝はスプレッドが急拡大する。通常10pipsで済む損切りが50pips以上になるケースもある。
裁量なら気づいて手動で閉じられるが、EAは設定がなければそのまま持ち越す。週末保有に制限を設ける設定(金曜日の何時以降は新規エントリー禁止、既存ポジションは金曜中に決済)を実装しておくのが安全だ。
プロップEAで必須の設定:ドローダウンリミッターの組み込み方
通常のFX口座でEAを動かす場合、ドローダウンが深くなっても強制ロスカット以外に止まる仕組みはない。しかしプロップファームでは「全体-10%」「日次-5%」に達した瞬間に失格になる。
EAにドローダウンリミッター機能が必要な理由はここにある。
ドローダウンリミッターの実装パターン
方法①:EAコード内に組み込む(最も確実)
// 日次損失監視のロジック例
if(DailyLossPercent() >= 4.5) { // -4.5%で全ポジション決済・エントリー停止
CloseAllPositions();
StopTrading();
}
日次-5%の手前(4.5〜4.8%程度)でポジションを全決済し、それ以上のエントリーを停止するロジックを組み込む。全体ドローダウン(-10%)に対しても同様の監視を実装する。
方法②:外部ドローダウン管理ツールを使う EAの改修が難しい場合は、MT4/MT5向けの外部ドローダウン管理EAを別途導入する方法もある。口座全体を監視して閾値で全ポジション決済する仕組みのツールが各種ある。
市販EAにこの機能がデフォルトで備わっていない場合は、別途リスク管理ツールの導入が必須だ。
使えるEAの条件チェックリスト
プロップファームにEAを導入する前に以下を確認する。
ロジック確認
- [ ] マーチンゲール(負けるたびにロット増加)を含まない
- [ ] ナンピンする場合はロット固定(増加しない)
- [ ] 15秒以上のポジション保有が基本設計
- [ ] HFT / レイテンシーアービトラージ要素がない
FTMO固有確認
- [ ] 自作EAまたは十分にパラメーター変更した市販EA
- [ ] Step3用にニュースフィルターを実装済み(指標前後2分間のトレード回避)
- [ ] 週末持ち越し禁止の設定が入っている
Fintokei固有確認
- [ ] 対象口座のスプレッド + 手数料条件でバックテスト済み
- [ ] 週末クローズ設定が入っている
共通設定
- [ ] 日次ドローダウンリミッター(-4.5〜4.8%で停止)を実装済み
- [ ] 全体ドローダウンリミッター(-9〜9.5%で停止)を実装済み
- [ ] VPSで24時間稼働できる環境が整っている
自作EA vs 市販EA:プロップでの選び方
自作EA推奨のケース FTMOを使う場合は自作EAが原則だ。市販EAを同じ設定で使うとコピートレードとみなされるリスクがある。Pine ScriptやMQL5でロジックを自分で設計できるなら、プロップ環境に完全対応したEAを作れる。
「ゼロから作るのは難しいが、検証済みのロジックをベースに自分でカスタマイズしたい」という方には、ソースコード完全譲渡形式でプロップチャレンジ対応済みのストラテジーを提供している。FTMOのコピートレードリスクを避けるためのパラメーター変更も、ソースコードがあれば自分で対応できる。詳細は「プロップチャレンジ対応ストラテジー(pinescript-pro.com)」を参照してほしい。
市販EA使用が現実的なケース Fintokeiをメインにする場合は、禁止手法を含まない市販EAでも運用可能だ。ただし上述のドローダウンリミッター設定の追加は必須になる。Fintokeiの禁止事項に照らして問題がないかを事前に確認してから使用すること。
まとめ:プロップファームでEAを使う際の要点
FTMO:EAは使えるが自作EA原則。Step3に上がると指標前後2分・週末持ち越しの制限が加わる。高頻度取引EAは1日2,000件の注文制限に注意。
Fintokei:市販EAも使えるが禁止手法(マーチン・HFT・評価通過目的EA等)の確認が必要。スプレッド + 往復6ドルのコスト環境でのバックテストが必須。
どちらにも共通:日次・全体ドローダウンリミッター機能の実装は必須。VPSによる24時間稼働環境も用意すること。
FTMOでのEA詳細設定は「FTMOでEAを使う方法」で解説している。
松風が実際に使っている手法はこちらで公開しています。


















